2010年4月20日

キヤノン「IXY DIGITAL 930 IS」実写レビュー

キヤノンの「PowerShot S90」が3万円を切って、そろそろ買い時かなと思って色々見ているうちに、S90ではなく「IXY DIGITAL 930 IS」をポチッとやっちゃいました。価格はAmazonで17,640円で、アフィリエイトの報酬でもらったギフト券が4,000円ちょっとあったので、支払い額は13,000円台でした。

IXY DIGITAL 930 ISは510 ISの後継機にあたり、レンズが24mm相当の広角レンズになった点と、タッチパネルが搭載された点が大きなポイントです。さらにIXY DIGITAL 930 ISの後継機のIXY 10Sでは、背面のボタンが無くなり全面がタッチパネル液晶になりました。

というわけで、510 ISと10Sの中間にあたる930 ISは、タッチパネルを採用しつつも従来のボタンによる操作もできる、「オイシイとこ取り」モデルとも言えます。

タッチパネル


930 ISのタッチパネルは、iPhoneなどが採用している「静電式」ではなく「感圧式」なので、iPhoneのように軽く触れるだけでは反応しません。操作するには、パネルに触れて少し力を入れるように押す必要があります。

誤操作を防げるという点ではいいのですが、iPhoneに慣れていると、かなり操作しづらく感じます。しかし、ほとんどの操作がタッチパネルを使わずに行えるようになっているので、それほど困ることはありません。

何だか、あまりタッチパネルのメリットがありませんが、ピントを合わせたいところをタッチしてフォーカスポイントを指定できることが、唯一タッチパネルのメリットと感じました。

レンズ


ぼくがコンデジを選ぶ上で一番気になるのが、レンズの歪曲収差(ディストーション)がです。これが悪ければ、その他の機能や性能がいくら優れていても、使う気にはなりません。

タル型の歪曲収差が少しありますが、24mm相当のズームレンズとしては優秀な方でしょう。

それから、IXYに限った話ではありませんが、ぼくのコンデジに対する一番の不満点は、パワーズームです。手動でズームできる一眼レフのズームレンズと違い、なかなか思ったところで止められないのがストレスになります。

それと、930 ISに搭載されている24mm相当の広角レンズは、あれば便利なのですが常用にはあまり向きません。24mm相当だと肉眼よりも被写体が小さく写ってしまうので、肉眼の印象に近いサイズに写すためにズームを使うことになります。930 ISは電源を入れると、ズームが広角端の24mm相当にセットされるため、ズームを使用する機会も増えてきます。その度に使いにくいパワーズームを使うことになるので、ストレスが溜まります。

しかし、930 ISに搭載されている24〜120mm相当の5倍ズームですが、実際に使用できる焦点距離は、その間の12段階となっているようです。小刻みにズームして撮影し、その画像のEXIFデータを確認すると、焦点距離(と絞り値)は次のように変化しています。

焦点距離35mm判換算開放F値
4.3mm24mmF2.8
4.826mm27mmF3.2
5.328mm30mmF3.2
5.917mm33mmF3.5
6.645mm37mmF3.5
7.65mm43mmF4.0
9.002mm50mmF4.5
10.779mm60mmF5.0
12.849mm72mmF5.0
15.216mm85mmF5.6
17.882mm100mmF5.6
21.5mm120mmF5.9
※35mm判換算=24÷4.3×焦点距離

小刻みに6段階ズームすれば、肉眼の視野に近いと言われる50mm相当の焦点距離になります。画面上のズームインジケーターでは、中間を少し過ぎたあたりになります。これを覚えていれば、パワーズームの煩わしさも少しは軽減できるかも知れません。しかし、これを覚えるのはやはり面倒です。

S90は、レンズ周囲の「コントローラーリング」に「ステップズーム」機能を設定可能で、簡単に焦点距離を切り換えられるのが魅力的です。930 ISにも、タッチパネルを使った同様の機能があると良かったと思います。例えば、画面上に「24・28・35……」と焦点距離のボタンを配置し、それを選択することでズーミングできるようにするなど、タッチパネルを活かした機能が欲しいです。

画質


画質については、取り立てて書くほどの不満はありません。コンデジとしては上位に入る出来だと思いますが、所詮はコンデジ。まぁ、これだけ写れば十分でしょう。

感想


その他、ちょっと気になる点をいくつか。

液晶が汚れやすい
タッチパネルということで、従来のものとコーティングが違うのか、タッチパネル操作をしなくても、知らないうちに結構汚れています。
USBケーブル端子のカバーが開けにくい
開くための切り込みがカバーの付け根側にあるので、非常に開けづらいです。今まで使ったIXYシリーズは、どれも決して開けやすくありませんでしたが、その中でも930 ISは一番開けにくいです。
マクロ撮影は60mm相当まで
マクロ撮影に対応しているのは広角端から10.779mm(60mm相当)までで、それよりも望遠側では対応していません。

最初はS90を考えていたのに結局930 ISを選んだのは、コンデジに求めるものが少なくなったからです。早い話、「安くて、そこそこ写れば十分」というように考えるようになりました。そう言う面ではS90よりも930 ISなわけで、930 ISは、その要求を満たしています。

実写サンプル画像


▲4.3mm, F3.5, 1/1250sec., ISO 80
▲15.216mm, F5.6, 1/800sec., ISO 80
▲4.3mm, F2.8, 1/125sec., ISO 80

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